最近体調の話ばっかりのような気がしますが、、、、、。タバコをやめて呼吸器系の調子はだいぶよくなってきたものの、消化器系(胃腸)は依然具合がすぐれないまま、、。やっぱり暴飲暴食がたたってるなぁあと反省しつつ、そのままではどうにもならないので病院に行く事にしました。
しかし、、、病院ってキライなんですよね。まぁ病院が好きだって人もいないだろうけど、出来る事なら行きたくな場所のひとつです。診療時間とかも午前中はやくないと駄目だったり、いろいろ面倒だし。自分の調子悪いのを治してもらいに行くくせに、なんかいやいや、しぶしぶ出掛けた訳です。行った病院はうちから車で10分くらいのところにある、二子玉の玉川病院という総合病院。なぜそこにしたかというと、土曜日に外来の診療をしてる総合病院が手近ではそこくらいだったから。
車で行ってみると二子玉川の瀬田温泉の裏手あたりの住宅街の中で、敷地の入り口から見ても建物がよく見えないくらい木が生い茂っていて、公園の中みたいな雰囲気。受付をすませて待合室にいると、建物はべつに新しくないんだけどなんか明るくてきもちがいい。よくよく見渡すと、さりげないところに天窓がついてて外の光が照明のように柔らかくさしこんでいたり、ちいさな家具のような噴水(?ちょっとうまく説明できないんですが.....)がしつらえてあったり、なんか気が利いてる。内科はこちら、とか外科はこちらみたいな案内表時の色とかフォントも、あまり他の大きな病院ではみたことないような渋い配色で、わかりやすいし。
結局診察までは相当待たされたんですが、ロビーの喫茶店の照明がルイス・ポールセンであったりするのを発見したりしてるうちに飽きる事もなくすごせました。ひとつひとつが特に奇をてらってつかわれてるのではなく、なにげにあるところがすごいなと思って、帰ってきてから調べてみたところ、やはり建築家の吉村順三がつくった建物だったのでした。
ここに拾ってきた写真は全部彼の代表作である「軽井沢の山荘(1962)」のもので病院の写真はないですが、なんか森の中に自然とたたずむ感じは世田谷の病院も似たような雰囲気がありました。やっぱりちゃんとした建築家が作る建物ってのは、そうと知らなくても違いがわかるものなんだな、、と思いましたね。ぱっと見はそんなに大した感じもしないんですけども。
下に引用したのは彼の言葉。彼の作品同様なんだか優しい感じがします。建築家の主張が前面に出ているのではなく、使う人のことをまず第一に考えて作られているというような思いやりがある感じ。今日は思いがけないところで良い思いをしました。
建築がちゃんとしてると、なんかその病院のサービスまで良いような気がしてくるから不思議。病院に着くまで電話して道を尋ねたりしたときは、たまたま電話に出た人が忙しくて愛想悪かったのかもしれないけど、「なんかあんまり対応良くないなー」なんて思ってたけど、帰る時は「良い病院だった」と思ってましたから。。僕の電話に出た人は吉村センセイに感謝したほうがいいかもしれないですね。。。。
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「いい形」
いい家とか悪い家というものはどういうことなのかという問題があると思いますが、やっぱりいい形というのは、自然から学ぶよりしようがないと思います。人間も自然の一部なんですが、それをちょっと忘れてしまって、非常にいろんな人工的なことに惑わされているんじゃないかと思います。ある場合には建築家もその商業主義の片棒をかついでいるんじゃないかと思います。それを何とか打破していかなければならないと思います。
(1979年、新建築家技術者集団岐阜支部「火と水と木の詩」)
「一本の線」
私は建築家というのはクライアントにもつくる人にもまた社会的にも責任をもたなければいけないと思います。むずかしい工法など十分に考えて使わなければいけませんね。日本の建築家はもうすこしデザインを簡単にしてもいいのではないかと思う例もよくありますね。手工芸的近代建築が多いのですから、よく事務所の連中にいうんですよ。「きみたちがなにげなく直線をさっと引いたために職人も泣くしクライアントもよけいな出費をする。そのうえホコリなどたまって外観もきたなくなり、みんながいやな思いをすることがあるんだよ。だから1本の線が大切だ」とね。
(1968年1月号、『新建築』住宅設計を支えるものより)
「純粋さ」
建物の純粋さとは何か。それは建築材料を正直につかって、構造に必要なものだけで構成するということである。柱は常に屋根を支える役割をもち、障子の桟(さん)は、造形的なパターンであるとともに、しっかりした構造的な役割をもっている。これらの構成は、最も簡単で、しかも清楚な美しさを創り出していて、これが私は、純粋さということであると思う。
(1965年7月11日号、「朝日ジャーナル」)
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病院もサービス業とすれば、この病院は病気をなおすだけでなくお客さんのこころもケアしてくれる新しい形のそれですねー。ということは、建築というおしごともサービス業にひっくるめてよさそうですねー。
Posted by: なおや | Sunday, April 23, 2006 at 01:34 PM
どんなにそのデザインが優れていようと、使い勝手の悪い建築はやっぱりダメだろうし。やはり使い勝手のよいものでなければ意味がないということでいうと、サービス業といっても良いのかもしれないですね。
Posted by: sstp | Tuesday, April 25, 2006 at 02:12 AM